2019年3月21日木曜日

17.若き副社長の時代 その5

17.若き副社長の時代 その5
昆布は北海道の漁業者を守るため、輸入枠が決められ輸入が制限されている。それでも将来の輸入自由化の可能性を見据えて、サハリン州にはどんな昆布があるのか合弁会社でも調査を行った。
 しかし調査を行おうにも日本のように海岸に沿って道は無く、海岸に行くにも道のないところを進まなければ海岸にたどり着かない。それも1ヶ所調査するのではなく、数箇所のポイントで調査するとなると大変だ。
 そんな事で悩んでいたら、そこはサハリン州とのパイプが強いパートナー会社が州政府ルートで頼み、沿岸警備隊のヘリコプターを出してもらえる事になった。パイロットの訓練と整備の為に規則的にある飛行時間は確保しなければならないし、沿岸警備目的でも日常的に飛行しているので、その飛行の一環としてヘリに同乗するのは構わないという事だった。
 そんな訳でサハリン州の数箇所の海岸にヘリで飛んでいって昆布のサンプルを採集した。勿論サハリンの海は北海道とそれほど変わらない生態系なので、北海道と同じ様ないい昆布がそこにはあった。
 ただウニも沢山繁殖はしているものの、誰も漁獲しないので、過剰繁殖して逆に餌が足りなくなっている状態の為、ウニの可食部分の美味しい卵の部分は少なく、味も美味しくない。日本のようにある程度漁獲し「間引く」事で、ある一定の数量に繁殖を抑え、しっかり身の詰まったウニが育つ。サハリンのウニは北海道のウニに比べ品質は悪かった。それでもどんどん漁獲して、ある程度間引いていけば、だんだん身が詰まってくるであろうと予想された。そうやって海岸の生物の調査をしていると、水産学部でそんな事をやっていた大学時代に戻ったような気持ちだった。
 湾岸警備隊のヘリコプターで海岸調査
 空から見たユジノサハリンスク


 海に入って昆布採取
 まあまあの品質の昆布
ナマコはいっぱいいるので商品化を検討

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