アラスカの夏が鮭なら冬は蟹。冬のベーリング海はいつも荒れているから漁民にとってカニ漁は命がけ。
蟹を買うバイヤーも今度はアラスカの西の端、アラスカ半島の先端のその先ダッチハーバーやアクタンまで悪天候の中を飛んでいくので、こちらも命がけ。猛吹雪の悪天候で2-3週間フライトが飛ばないなんて日常茶飯事。特にダッチハーバーの空港は滑走路が短く、滑走路の片方は崖が迫っている。空中旋回をしながら、降下して滑走路のもう片方から一気に着陸する。私が体験した空港の中では今でも一番怖い空港だ。
カニは自分の水産バイヤーのキャリアの中で一番買ったアイテム、今まで何千トン買っただろうか?買う為には検品もする、検品は見るだけでなく勿論食べる。原料の鮮度、身入り、ボイル時間と温度、塩味、食べてみないとわからない、もう今まで何トンぐらい試食したか(笑)末端価格数千万円?(笑)私の買ってきた北洋のカニは種類はタラバ・ズワイ・毛ガニ・ダンジネス、産地は東カナダ、アラスカ、ロシア極東、加工は生とボイル、冷凍方法はブライン凍結、エアーブラスト凍結、窒素凍結、二酸化炭素凍結とカニ買付はプロを自負していた。当時は顔がカニに似てきたと同僚にからかわれた。
この写真はアラスカダッチハーバーでのズワイガニ買付の時のもの。カニは生とボイルとあって関東向けは解凍したらそのまま食べれるボイル中心、関西向けはカニ鍋の需要が多いのでボイルしないカニが主流。凍結方法はブライン凍結といってガンガンに冷却してた飽和食塩水の中にカニを漬けて凍結するシステム。
まだこの頃はソ連崩壊以前でロシア極東のカニはそれほど輸入されておらず、ズワイガニは東カナダとアラスカが主流だった。1991年のソ連崩壊で国が漁獲も輸出も統制していた時代が終わり、ロシア極東の都市で外人が入れる都市はナホトカだけという状態から外人も自由にどこでも行けるようになり、ロシア人も国から選ばれた人間だけが、外国に行けて、国の貿易公団だけが外国と商売できるという状況からロシア極東の各地の漁業コルホーズが自ら輸出取引ができるようになり、一気にロシア産水産物が日本になだれ込んできた。最初は品質もめちゃめちゃ、足も折れてばらばらだったが、我々がロシア極東を走り回って品質改良指導をしてきた。勿論相手は漁業コルホーズの面々だったのでウオッカもめちゃめちゃ飲んだなあ~
カニ漁船。ものすごい着氷だが着氷で重心が高くなってくると船が転覆するリスクがあるのでこまめに着氷をはがしている
寒そうでしょう?寒いです
かなり小さいカニ漁船
大型漁船からカニを引き揚げる作業中
獲ったカニは船底のタンクへ。海水を循環させているのでカニは生きている
甲羅と鰓を外して脚だけを凍結
手前はボイルタンク。奥にチリングタンク、その次はブライン凍結機
ダッチハーバーの滑走路は着陸にテクニックがいる
ボイル前のズワイガニ
ボイル後のズワイガニ
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